【Day1 =30.Jun - 1.Jul.2017=】
第2戦の唐津から中2週のインターバルで開催が続いてきた2017年の全日本ラリー選手権は、第6戦となる「2017 ARKラリー洞爺」が行われた。
2011年から北海道を代表する温泉地である洞爺湖町をホストタウンとする本大会は、
タフなグラベルラリーとして知られている。山本にとっては初のグラベルを舞台とする全日本選手権への挑戦であり、全日本ダートトライアル選手権のチャンピオンという肩書も有するだけにその戦いぶりは注目を集めた。
週末を通じて好天に恵まれた洞爺・ニセコ地方、蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山もその美しい姿を見せる中で6月30日は早朝からSS(スペシャルステージ)の下見などを行うレッキに臨む。今回、土曜日に走行するSSは地区戦も含めてラリーの舞台となったのは初めての林道。洞爺に初参戦となる山本にとってはライバルとイコールの条件となるが、その道は狭くテクニカルな要素も強い難しいステージであった。
レッキや公式車検が終わり、夕方にはサービスパークにほど近い砂防ダムに設けられたSS1「NEW VOLCANO 1 (0.70km)」で戦いが幕を開ける。距離は700mと短いステージだが、北海道内からをはじめ多くのラリーファンが見守る中で山本の戦いもスタート。しかし、ここは2.5秒差の4番手と、ややタイムが伸び悩んでしまった。
一夜明けて7月1日(土)、戦いは林道に主なステージを移す。オープニングのSS2「STREAM 1」は大会最長となる11.24kmのロングステージ、テクニカルでもあるためにタイム差がつきやすい勝負どころのひとつと目されていた。
山本が参戦するJN4クラスは、エンジン排気量1500を超え2000ccまでの車両が属している。数としては山本もステアリングを握るトヨタ・86とスバル・BRZが主流だが、クラス区分基準に駆動方式は関係ないため、4WDやFF(前輪駆動)も含まれることになる。
一般的な車両特性として、グラベル路面はこれら4WD/FF勢が得意とする傾向が強い。金曜日のSS1でも結果に現れていたが、山本/藤田はこれを挽回するべく林道オープニングステージとなるSS2「STREAM 1 (11.24km)」に臨んだ。
スタートから狭いグラベル林道を、果敢に攻略していく山本組。ロングステージの勝負どころだけにタイムをしっかり刻んで行きたいところだったが、やや気持ちに焦りもあったか2kmほどの地点でタイヤ1本分イン側のラインを取った山本組にタフなステージは容赦なく牙を剥いた。生い茂る草の中にコンクリートの側溝が潜んでおり、これに乗り上げたためにマシンは足回りに大きなダメージを負ってしまう。さらにタイヤを壊してしまったので、道幅の広いところまで移動してタイヤ交換を行う。既にタイムを出せる状態ではなくなってしまったが、サービスで修復を図り後半セクションに望みをつなぐこととした。 しかし、SS3「KNOLL 1 (8.04km)」で後続車に追いつかれた際、道を譲るために車を寄せたのだが、深い側溝に吸い込まれるように車が落ちてしまい万事休す。身動きがとれなくなってしまい、無念のデイ離脱となった。
【Day2 =2.Jul.2017=】
不完全燃焼で終わった土曜日から一夜明けたDay2、マシンはメカニックの手によって修復され山本/藤田組はスーパーラリーとして再びステージへと向かった。
土曜日のステージよりは道幅が広いものの、ややテクニカルな要素のある中低速ステージのSS9「SEA TANGLE 1 (6.80km)」は5番手、同様のSS10「PLUM 1 (2.98km)」も6番手と、同クラスの86/BRZ勢に対してもタイムが伸び悩んでしまう。
しかしハイスピードなキャラクターのSS11「LAVENDAR LONG 1 (9.02km)ではセカンドベストを刻み、続くショートステージのSS12「NEW VOLCANO 3」も連続セカンドベスト。 サービスをはさんだ最終セクション、リピートの林道ステージでもこの傾向は変わらず、SS13「SEA TANGLE 2」は4番手、SS14「PLUM 2」が5番手というリザルトに。そして締めくくりの最終ステージ「LAVENDAR LONG 2」では2番手を3.4秒引き離す待望のステージベストを刻み、ハイスピードステージで速さを見せた一方で、テクニカルステージに対する課題が見せた一戦となった。
■Driver Comment
元々グラベル育ちではありますが、ラリーとダートトライアルは別物と考えていたので、初心 に戻るつもりで臨んだ洞爺でした。初のグラベル林道ということで、道の狭さや掘れに対する 不安も正直なところありました。そんな中で順位の前にしっかり完走を目指してスタートして 車両を破損させたことで、如何に経験が浅く技量不足かを思い知らされました。グラベルでは ターマック以上に経験値を増やすことが必要で、速さ以前に確実に完走できる術を身につける ことが重要だと痛感しています。次のRally Hokkaidoでは今回の経験を無駄にしないよう、 絶対完走を目標に今後の糧にしていけるように頑張ります。
■Co-Driver Comment
タイヤ1本分インのラインに入ってしまったことで、車両を破損させる結果になってしまいました。デイリタイアは残念なものでしたが、日曜日にはRally Hokkaidoを見据えて足回りの テストを行えたこともあり、収穫もあったと考えています。 Rally Hokkaidoは走る距離も長く、スピードレンジも高いので、洞爺以上にタフな一戦です。 これまでベテラン選手と組んで戦ってきた経験も活かしながら、まずは確実に車を壊さずに フィニッシュまで運べるようにしていこうと思います。
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